ゾイドのアクションプラモデルシリーズ「REALIZE MODEL(以下、リアライズモデル)」より、「RMZ-003 コマンドウルフ」のレビューです。
リアライズモデルとしては初の「中型ゾイド」として登場した本キット。
これまでのブレードライガーやジェノザウラーのようなワンオフ機(※ほぼ)ではなく、いわゆるスタンダードな「量産機」にあたる本機体が、どのようなクオリティに仕上がっているのか。
実際に組み立ててみた感想とともに詳しくレビューしていきます。
リアライズモデル RMZ-003 コマンドウルフ

品名 | RMZ-003 コマンドウルフ |
キット内容 | 組み立てプラモデル |
価格 | 3,850円 |
発売元 | タカラトミー |
主な登場作品 | 『ゾイド -ZOIDS-』『ゾイド新世紀/ゼロ』『ゾイドフューザーズ』『ゾイドジェネシス』 |
最初にコマンドウルフについて解説。
コマンドウルフは、ヘリック共和国が開発したオオカミ型の高速戦闘ゾイド。格闘戦から追跡、情報収集まで幅広く活躍できる汎用機で、操縦性能にも優れているという設定です。

アニメ『ゾイド -ZOIDS-』でもスタンダードな機体として勢力を問わず各所で活躍。共和国正規軍はもちろん、ロッソ率いるデザルト・アルコバレーノやアーバインといった盗賊たちにも使用され、多彩な場面で活躍を見せました。
さらに、汎用的な量産機でありながら、特殊装備や専用機など多様なバリエーションが存在し、初代アニメに留まらず、『ゾイド新世紀/ゼロ』『ゾイドフューザーズ』『ゾイドジェネシス』といったシリーズでも継続して登場。
時代を超えてさまざまなキャラクターに搭乗されてきた名機であり、ゾイドを代表する存在の一つだと思っています。
コマンドウルフ全身のプロポーション

さて、全身のプロポーションはこちら。
全体のデザインは、旧キットのスタイルをほぼ踏襲。極端なアレンジは加えられておらず、オリジナルのシルエットを尊重した仕上がりになっています。





大きな違いは、背部の50mm対ゾイド2連装ビーム砲のデザイン。キャノピー付きにアレンジされており、これはコトブキヤのHMM版と同様の仕様です。
ゾイドは、砲手の座席が無防備なままのデザインが多いですが、しかし、後年のHMMシリーズではその点がリデザインされ、キャノピーで保護される仕様が増えました。
今回のリアライズモデル版でも同様のアプローチが採用されたみたいです。
可動域

次に、リアライズモデル最大の特徴である可動をチェックしていきます。
リアライズモデルはゾイドの最大の特徴であるギアボックスをあえて廃し、その代わりに自由に動かせるアクションキットとして発売されたシリーズです。



首の左右の可動域


首は左右へ大きく振り向ける仕様となっており、可動範囲は広めです。
旧キットでは首は上下にしか展開が不可能だったことを思うと、この進化には感慨深いものがあります。
モチーフとなったオオカミ本来のリアルな動きを再現可能になりました。
ただし上下の可動域はやや狭い

一方で、ここは少し惜しいポイント。
旧キットのコマンドウルフは、首の機構が最大の特徴で、位置によってギアボックスの歩行速度が変わるという、とてもユニークなギミックが搭載されていました。
リアライズモデルはギアボックスがないため当然その機能はオミットされていますが、首と頭部のスイング(上下の可動域)に関しては、ギアボックスの制約があった旧キットよりもむしろ狭まっている印象です。
特に気になったのは、首を持ち上げた状態で顎を引けない点。つまり、頭部を下に向ける動きがほとんどできません。旧キットを繰り返し遊んできた身としては、これがかなりの違和感ポイントでした。
あの首の位置を「ガコン」と切り替える際の心地よい感触と、頭部を下にスイングさせる事によるポージングが失われ、「あれ? これ以上動かない?」という物足りなさが残ってしまいました。


旧キットで遊んでいた人ならば最大の違和感ポイントになると思います
また、50mm対ゾイド2連装ビーム砲の仰角も、機構変更の影響で旧キットより狭くなっており、水平姿勢をほぼ取ることができません。
厳密に言うと、仰角を水平にする事は勿論できるけど、動力パイプや耳に砲身・砲弾が触れそうなほど狭く、現実(リアル)を考えれば、あり得ないポージングになってしまいます。
ここは少し残念なポイントです。
余談。実家のコマンドウルフの様子を確認

(最初の1体目は兄弟や友人に遊ばれすぎて痛みが激しい)
ちなみに、旧キットのコマンドウルフもご紹介。アニメ世代の1999年版です。
コマンドウルフは、アニメ放送当時……いや、それ以前に上山道郎先生の漫画版『機獣新世紀ZOIDS』……いや、それよりもさらに、コロコロコミックでゾイドの復活が発表された当時から、すでに大好きなゾイドでした。

GBソフト「ゾイド 邪神復活」の初回購入特典だったやつです。みんな覚えてる?
アニメ世代、いわゆる第2期シリーズ世代の人なら、僕と同じように「初めて買ったゾイドはコマンドウルフかガイサック」という人が多いはず。
だってあの時、いきなり「ゴジュラス」は買えなかったよね?小遣い的に。
そうなると、最初の1機は発売第1弾の中でゼンマイ型の中・小型ゾイドになったはず。アニメ世代なら、上山道郎先生の漫画版『機獣新世紀ZOIDS』も見ていたでしょうし、まずは「コマンドウルフ」でゾイドデビューした仲間はたくさんいるのではないでしょうか。

既にリアライズ化も決定しています
各部ディティール
閑話休題。ここからは各部ディティールについて確認していきます。
コックピット(エレクトロンバイトファング)




1/100スケールでコックピットを造形する苦しさ(工夫とも捉えられますが)が垣間見えました
ストライククロー

50mm対ゾイド2連装ビーム砲

スモークディスチャージャー

脚部

リアライズ初の中型ゾイドとしての所感

さて、ブレードライガー、ジェノザウラーと、これまでのリアライズモデルは、旧キットでは「モーター駆動の大型ゾイド」に分類されるうえ、実質的にワンオフ機に近い(厳密には異なるが非常に希少な)特別なゾイドでした。
対して今回のコマンドウルフは、「ゼンマイ駆動の中型ゾイド」であり、スタンダードな量産機としてはリアライズモデル初の立体化になります。
つまり今後発売される中、小型の汎用量産ゾイドのリアライズモデルは、このコマンドウルフがベースとなり、質感や組み立て難易度、サイズ感について、かなり参考になると考えています。
RMZ-002 ジェノザウラーとはだいぶ印象が異なる

ジェノザウラーとコマンドウルフは、パッケージのサイズからしてすでに「別物感」が漂っていましたが、実際に組み立ててみて、その違いが一層明確になりました。
大型ゾイドと中型ゾイドでは、ランナーの数やパーツの密度、そして組み立て工程の複雑さがまったく異なります。

ライバルのガンプラで例えるなら、ジェノザウラーは「RG」や「フルメカニクス」相当の本格的なプラモデルです。
一方、コマンドウルフはもっとハードルが低く、入門キットのような印象です。組み立て難易度的には「HG」クラスといったところでしょう。
ただ、「HG」クラスと考えると、価格設定が少し高めに感じちゃいましたね。。もちろん、昨今の物価高を踏まえれば従来のプラモデルの価格感覚が全く通用しないのは理解していますが。。
ジェノザウラーの6,600円は、その精密な作り込みやボリュームにより価格以上の満足感があったのですが、その印象が強かった分、今回のコマンドウルフにもちょっと期待値が上がりすぎたのかもしれません。
今後展開される中・小型のリアライズモデルは、このコマンドウルフの質感や構成を基準に考えていくことになると思います。ネガティブな意味ではなく、あくまで感覚的な基準としてです。
1/100スケールというサイズ感を、いよいよ実感

また、1/100スケールのサイズ感をいよいよ実感しているところです。
ジェノザウラーは大型ゾイドだったため、1/100スケールでもそれほど違和感はありませんでした。しかし、コマンドウルフを手のひらサイズの1/100スケールまで縮小されると、流石にかなり小さく感じます。キャノピーが、なんともかわいらしい(笑)。
このサイズ感を見ると、今後発売予定の「モルガ」や「ヘルキャット」などの小型ゾイドは、相当に小さいだろうなと想像ができます。これだと元々とても小さかった「ディマンティス」などのゾイドは、ちょっとリアライズ化は厳しいんじゃないだろうか。
まとめ

以上、「RMZ-003 コマンドウルフ」のレビューでした。
全体的に懐かしさを残したシルエットのまま、そこに新たに「可動性を組み込む」という進化にチャレンジしたキットだと思いました。
また、リアライズシリーズ初の中型ゾイドとして登場した本キットは、今後の中・小型ゾイド展開において、ひとつの指標になる存在だと感じます。
可動域や価格設定には一部気になる点もありましたが、「組み立てやすさ」と「コレクション性」のバランスが非常に良く、ゾイド初心者にもおすすめできる良キットです。まずはコマンドウルフから!というのは十分アリ。
コマンドウルフはバリエーション展開も多彩で、すでにアーバイン専用機の発売が決定しています。今後はバラッド機(青いAC仕様)など、さらなるアニメラインナップにも期待が膨らみますね。