ストッパーどころか、まさかのブースターかもしれん。
ガンダム新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』の第5話「ニャアンはキラキラを知らない」の感想です。
今回の見どころは、黒い三連星の登場と、ニャアンの覚醒劇。
これまでガンダム「ジークアクス」を自在に操れるのは主人公・マチュだけかと思われていましたが、まさかの展開。気せずしてジークアクスに搭乗することになったニャアンは、闘いの中で覚醒し、今まで抑圧されていたどす黒い感情を一気に解き放つかのように、オメガ・サイコミュを起動。鬼神のごとき動きで黒い三連星のリック・ドムを一刀両断。
マチュは、自分以上に「シュウジと肩を並べる」M.A.Vが、なんとニャアンだったという現実に直面し、激しく動揺します。
ストッパーどころか、ブースターになるかも
難民として、数多くの非日常的な不条理を経験してきたであろうニャアン。
だからこそ彼女は平穏な日常を求め、逆に非日常へ憧れを抱くマチュを諌める「ストッパー」的な役割を担うのではないか。
……という推測もしていたのですが、蓋を開けてみれば展開は全くの逆。
ニャアンはマチュのストッパーどころか、三角関係をこじらせ、物語の火種を増幅させるブースターとして機能しそうな展開です。なんだこれ、今からマクロスでも始まるのか?
前回のラストを受けて、多くの視聴者は「マチュ=狂人」のような説を唱えている感想が多かったです。シイコを殺めたシュウジに対してある種の“理解”を示したことで、良心や、人としての共感性の欠如を感じた方が多かったようです。
ですが今回のエピソードを見る限り、冒頭、マチュは皆が思っていたより冷静でした。あのシュウジの行為に対して、心情はむしろ揺らいでおり、まだシュウジのいる場所には自分は踏み込めていないという様子が描かれていました。
その一方で、難民として様々な不条理に耐えながら、生き延びるために非合法な世界にすでに身を置いていたニャアン。彼女はとうの昔に、シュウジのいる場所へと足を踏み込んでいた。もともとお嬢様として何不自由なく育ってきたマチュが、ニャアンの自由を渇望する力に太刀打ちできないのも当然といえば当然。
だからこそ、せっかく(思っていたより)冷静だったマチュが、この後どうなってしまうか。
「特別なのは自分だけではない」という現実を突きつけられたマチュの焦りが、何か悲劇を生んでしまうのか。次回もとても楽しみです。
余談
それにしても、せっかく登場した黒い三連星はホント踏んだり蹴ったりだなあ。
予告で登場が確実視される中、ただ一人姿が確認出来なかったマッシュの安否を案じていたのに、いざ蓋を開けてみたら不倫現場をパパラッチされた写真で登場って、なんだよこれ(笑)。こんなの笑うに決まってるだろ。
ジークアクスは「宇宙世紀」という完成された素材を利用して、我々ガンダムファンを翻弄させてくるのはホントずるいわ。
……なーんて笑っていたのも束の間、バーサーカーと化したニャアンとシュウジによって、ガイアもオルテガもあっけなく退場。しかも、あれだけえげつないやられ方をしておきながら、BGMはまるでニャアンの覚醒を祝うようなポジティブなもので、シイコのときのような悲壮感がない。
これは戦争ではなく、一応はルールがある「競技」であるはずなのに、命の扱いがどんどん雑になってきている点には少し引っかかりましたね。クランバトルでまた死人が出たという狂気の演出ではなく、単純に敵キャラクターの扱いが“ぞんざい”になりつつあるように見えたんだよなぁ。