ジム?いいえ、ゲルググです。
……なんて、笑ってる場合じゃなかった!
ガンダム新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』の第4話「魔女の戦争」の感想です。
前回・第3話で、ようやく劇場先行公開版に物語が追いつき、この第4話からは、ついに誰も知らない“完全新作パート”がスタートしました。
マチュの進む道は?
前回の感想記事で「そろそろ」と予想していた通り、物語のターニングポイントとなるであろう回が、やってきました。
連邦の魔女ことシイコの「生き様」と「退場」は、これまで“普通の日常から非日常へ”と憧れを抱いていたマチュを、現実へ引き戻すどころか、むしろそちら側へ渡るための覚悟を促すかのような展開になってしまいました。
物語のラスト。シュウジはマチュの目の前でシイコのコックピットを容赦なく貫きます。マチュは一瞬動揺したものの、そこで「どうして……?」と心を曇らせるどころか、「そこまで踏み込まないと、シュウジのいる場所には届かないんだ」、と、むしろ理解を示すかのような描写で話は終わりました。
思わず「あ、そっち?」と声が漏れましたよ。
このラストのマチュの結論が「覚悟が固まった」のか。それとも理解したうえで「そこまでは踏み込めない」という揺らぎが残っているのか。次回を見てみないとわからない。
しかしこういう展開になってくると、EDテーマの「もうどうなってもいいや」というタイトルが意味深に響いてきます。
このまま非日常の世界へと突き進めば、遅かれ早かれ、マチュ自身の手で「引き金を引く日」が来るはずです。そうなったとき、いよいよ彼女は後戻りできなくなりますが……。
常識人枠(?)のニャアンが何かしらのストッパーになるのか、それとも一緒に破滅の道を進むのか。果たして。
全く動じないポメラニアンズの面々
今回もう一つ印象的だったのが、ポメラニアンズの面々の態度。
チームメイトの手により相手パイロットが殺められたというのに、誰一人として動揺せず、弔いの言葉も後悔の表情も一切なし。シイコと旧知のアンキーのみ吐き捨てるように呟いたものの、他のメンバーにあったのは、「勝利した」という事実に対する安堵のみ。
彼らにとって、相手の命は勝敗の副産物に過ぎない。そんな冷徹な価値観が、無言のうちに描かれていました。
この描写を通して、クランバトルに参加する連中が「まともではない」という世界観の片鱗が、改めて浮き彫りになったと感じました。
ガンダムが「マジ」で喋っている可能性
それと個人的にゾッとしたのが、マチュとニャアンのやり取り。
マチュは「モビルスーツが喋るわけがない」と、地球に行きたいのは、あくまでシュウジの意思だと思っていますが、わざわざこんなセリフを用意している時点で、逆にフラグとしか思えない。
ガンダムに何かしらの意識が宿っているという伏線としか思えません。もしかしてこれはエヴァですかスタジオカラーさん(モスク・ハンも冬月にしか見えんかったわ)。
ガンダムファンとしてニンマリ。まさかの「ゲルググ」だが、伏線はあった
ところで、今回もガンダムファンにはたまらないサプライズが仕込まれていました。
次回予告の段階では、どう見ても「ジム」だと推測されていたモビルスーツの名称が、まさかの「ゲルググ」。しかし何処からどう見てもジムにしか見えません。でも、ちゃんと伏線が。
「ジオニックの新型は開発を中止。ガンダムのリバースエンジニアリングによる量産計画が決済された」
このセリフはテレビ版第2話でマリガンが語っていたものですが、今回その意味が具体的に現れました。この世界線の宇宙世紀は、ジオンによってガンダムが鹵獲されたことで、我々が知るモビルスーツ開発の歴史とは大きく異なる分岐をたどっています。
その結果、ガンダムのマスプロモデルであるジムは、この世界線ではジオンの「ゲルググ」という名前で誕生しました。こうした視聴者のガンダム知識をミスリードに変える展開にはニヤリとさせられます。なんとも粋な仕掛けです。
今後も「ガンダムに詳しい」が故のファンの“思い込み”を巧みに裏切るサプライズ展開を期待します。