シュタゲ…いや、マブラヴ?。
ガンダム新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』の第12話、最終回の感想です。
やりたい放題のパラレル宇宙世紀。その物語がついに完結しました。
最初は銀魂ばりのパロディのような展開に「これはギャグ路線か?」と笑っていたら、めちゃくちゃ大真面目に宇宙世紀の物語だった劇場先行版の衝撃……あれからもう半年。
カラーの手のひらの上で転がされ続けた、ガンダムファンとしての半年間。なんだかんだ言って、楽しかったです。
それでは最終回、ネタバレありの感想で振り返っていきます。
結局『ジークアクス』は、ララァがはじめた物語ということでOK?
んで、最初に結論を言うと。
ここまでファーストの歴史を好き放題に引っかき回してきた『ジークアクス』。
当初は「一体何でこんな事を?」と思ったし、わざわざ宇宙世紀のパラレルまで作って何をやろうとしているのか、正直序盤ではまったく見えて来ませんでした。
でも、最終的にシュウジの目的というか、物語の核心はハッキリと示されました。
『ジークアクス』は、ララァが救われる物語だったのね。
最初は「ニュータイプとは何か」「自由とは何か」みたいなテーマを、マチュの成長と共に掘り下げていく作品なのかと思っていました。
しかし、なら、なぜ宇宙世紀を「やり直す」必要があったのかずっと疑問でした。その「やり直す」ということ自体が物語の核心だったということなのね。
もちろん、前述のようなテーマも随所に織り込まれていたとは思う。でも、それらはすべて「ララァが創り出した世界」という土台があって、初めて成立していたんですよね。結局、この物語は「謎の宇宙世紀」から始まり、全12話を通して、その「答え合わせ」に至る話だった。ジークアクスのキャラクターたちって、正直バックボーンがほとんど語られないまま終わりましたけど、そこは本質じゃなかったんでしょう。
そして、そんなララァの世界のループを終わらせた、今回の最終回。
ようやくここから『ジークアクス』の世界は、初めて“本当の第一歩”を歩み始めることができた。そんなふうに思いました。
これがとりあえず最終回の初見の感想。ここからはそんな最終回を振り返ります。
最終回を振り返る
ガンダムとの戦いの中で、シャアを守ることができなかった世界のララァ。彼女が創り出した「やり直しの世界」。
何度も何度もループして、シャアを救おうとした。でも、どの世界線でも、ララァはシャアを救えない。その度にその世界は崩壊し、そしてまた新たな世界が生まれてきた、と。まさかこんな壮大なセカイ系の物語だったとは。。
(大真面目な話なのに、ループ中のシャア専用MSの試行錯誤には、正直笑ったがw)
そんな絶望のループの果てに、ようやくたどり着いたのが、「シャア自身がガンダムに乗る」という、この『ジークアクス』の世界線だったわけです。
なるほどねー。大切な人の悲劇を回避するまで、何度も何度も世界をループしてやり直す。でも、どれだけやっても、運命は結局、同じ結末に収束してしまう。そんな絶望のループを抜けて、ようやくたどり着いた「ひとつの希望」。
シュタゲ……いや、マブラヴ的な。
ファーストガンダムのif展開を、ここまで綺麗にセカイ系に昇華してきたのは見事でした。
実はシイコさんの時から一貫しているシュウジの信念
ところが、ようやくたどり着いたこの「希望の世界」を、なんとシャア自身が否定します。
シャアは「シャロンの薔薇」ことララァを、あるべき場所、つまり“向こう側の世界”へ帰そうとします。
そんなことを知れば、ララァは激しく傷つき、この世界はおろか、“向こう側の世界”まで崩壊してしまう。そうなる前にシュウジは、ララァを殺めることで、彼女の心を守り、そして絶望から救う。。よくよく考えると、実はこれシイコさんの時と同じなんだよね。この世から解放することで呪縛を断ち切り、相手を救うというシュウジのスタイルは一貫している。
しかし、その選択をマチュは真っ向から否定します。
こうして、シュウジが駆るRX-78-2ガンダム vs マチュのジークアクスという、最終回らしい王道対決が幕を開けました。今まであちこちに風呂敷を広げまくって、とっ散らかってた物語だけど、核心が見えたあとは一気にシンプルで熱い展開へ!
ようやく来ましたよ。バトルが主役の最終回が。
『水星』といい、今回のガンダムも、バトルの比重が控えめだったけど、最終回はもう、とにかく戦って、戦って、戦ってくれた。こういうのを待っていたんだよ俺は。
シャアとキシリア。
シャリア・ブルとシャア(あとおまけでエグザベくん)。
それそれの想いが交差する
さて、最終回ですが、投げっぱなしにならずに、登場人物全員がそれぞれにきちんと「決着」をつけました。
まずはシャア。ララァのことで手一杯なので、この世界線ではキシリアの最期には関与しないのかと思いきや、しっかり「世界の選択は収束する」んですね(笑)。こんな大事なこと片手間のようにこなすなよ(笑)。
キシリアはこの世界線ではかなり上手く立ち回っていたように見えたけど、やっぱり運命は変えられなかった。まあ、シャアに関わった女性はだいたい身を滅ぼす。これ、宇宙世紀の法則ね。
エグザべくん。この物語において、君はずっと視聴者と同じように状況に振り回されながらも、本当に健気に、真面目に、自分の任務を全うしようとする、全然ニュータイプっぽくない“フツーの人”として描かれ続けた。
正直、任務自体は基本全部失敗してるし(笑)、コモリ少尉の思わせぶりな言動やOPの組み合わせは「え、結局何だったの?」感があったし、最終決戦ではやや蚊帳の外感も否めなかったけど。
でも君が最後に果たした「役割」は、実に真面目な君らしい、誠実な選択だったと思う。君はこの作品の中で、本当に「キュート」な人物だった。今後もどこかで活躍してくれよな!
シャリア・ブルも宇宙世紀の分岐点
そして、シャアとシャリア・ブルの激突。
同じニュータイプ同士で、見据えている世界も似ているかと思いきや。シャリア・ブルは、シャアがいずれ「人類を粛清する」という危険な思想に至る未来を感じ取り、排除すべきだと決意していました。
それってまさに、我々が知る「正史」のシャア・アズナブルそのもの。
シャリア・ブルは、その未来のシャアの姿を、この世界線の彼に感じ取ったみたいです。
それにしてもゼクノヴァの騒動であれだけ「赤い彗星」を追い続けていて、その目的が「排除するため」だったとは(笑)。この世界においてのシャリア・ブルは、終始一貫して“世界の安定”のために動いていたんですね。
思えば、ガンダムの歴史において、シャリア・ブルこそが、ニュータイプのはじまりの存在だったわけで。
本来は、こういう壮大な役割を背負って生きる人物になるはずだったわけですね。
そう考えると、実は宇宙世紀の分岐点って、「アムロがシャリア・ブルを倒してしまった」あの選択だったのかもしれない。
あの出来事がなければ、宇宙世紀はもっと穏やかで、より未来的な方向に進んでいた可能性もある。そんな見方も、できるかなと思いました。
マチュとニャアン。ついに手を取り合い、二人は真の「マブ」となった
シュウジを巡って、一見決裂していたように見えたマチュとニャアン。
でも、あの6話でのニャアンの表情。気まずそうで、でもどこか仲直りしたそうな、あのソワソワした仕草に嘘はなかった。
「本当は3人一緒がよかった」。その独白もまた、偽りのない本心でした。
一方でマチュ。あのときの「3人で逃げよう」という提案も、決して嘘ではなかった。あれも、ちゃんと彼女なりの本心でした。
ニャアンを利用しようとしたわけでも、欺こうとしたわけでもない。
だからこれは「和解」なんかじゃない。そもそも二人の心は、最初からバラバラになんてなっていなかった。
ただ7話で起きた出来事が、結果的にみんなを“物理的”に引き離しただけで、「たもとを分かった」わけではありませんでした。EDの二人の笑顔に嘘は無かったんだ!
ということで、二人はついに手を取り合い、シュウジを止めるために「M.A.V.」……いや、本当の「マブ」として、ガンダムと共に立ち向かいました。
いやー、一時はどうなることかと思いましたが、こういう形に落ち着いて良かったです。
まもちゃんついにアムロが登場!?
そして、最終回でもサプライズは止まりません。
シャアとララァ。あの聞き慣れた、懐かしの声が帰ってきた!
どうやらこの無限に広がる世界線では、同じ人物であっても、それぞれ声質は違うみたいですね(笑)。
そして、ララァの救いを願う、ジークアクスの魂の叫び。こ、この声は!!
向こう側のシャアとララァの回想でも一切登場せず、こちら側にやってきたガンダムに乗っているのもシュウジ。
これは完全に“中の人”の事情で出せないやつだ。なんて思っていたら最後の最後で、まさかの超特大サプライズ!!
“あの人”が、満を持して登場です。えーと、これ復帰ってことでいいのかな?(汗)
……ってなに?エンディミオン・ユニット??
最終回でまた新しい単語出さないでよ(汗)。それじゃアムロじゃなくてタキシード仮面になっちゃうだろ。
まあ細かいことはともかく、アムロの願い、そしてマチュの魂の叫びに、シュウジは納得し、呼応するようにララァが目を覚まします。
覚醒したジークアクスは、唸り声を上げながら(最後までエヴァっぽいなこのガンダム)、シュウジの駆るガンダムを撃破。
目を覚ましたララァは、マチュにそっと礼を告げ、キラキラでイオマグヌッソを包み込みながら、シュウジと共にこの世界から“向こう側の世界”へと帰っていった。
残された者たちは、それぞれの“自分の役割”を見出し、この残った世界で自らの道を歩き始めていくのであった……。おわり。
まとめ。散々ツッコんできたけど、楽しい半年間だった
以上、第12話最終回の感想でした。
そしてジークアクス完走お疲れ様でした!
ガンダムファンとしては、もう最初から最後までサプライズの連続。本当に半年間ずっと、カラーの手のひらの上で転がされっぱなしでしたね。
まあ、考察というよりは毎週毎週ツッコミに回っていましたが。
でも、何だかんだ言って、最終的には投げっぱなしにならず、一応ちゃんと“まとめてきた”と思う。
いやもちろん細かい裏設定や描写しきれなかった部分は山ほどあるけど、物語の本筋についてはしっかり結論を出してくれました。その他の細かい裏設定は「ジ・アート・オブ・ジークアクス」でも出してくれ。買うから。
最後の挿入歌が流れながらの決戦シーンには、正直ちょっとグッときちゃったし、エンディングでみんなが前を向いて進もうとしている姿は本当に良かった。自分が決めた道を誰も後悔などしていない。振り返らずに前を向いて歩いていくようです。良いEDでした。
さて、勢いで感想のままに乱文になってしまいましたが、ちょっと時間切れなので、ひとまずこのへんで締めます。
後日、加筆・修正するかも。とりあえずお疲れ様でした!!