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公開日:2025/04/21

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APS-Cカメラ×100-400mmレンズの作例|航空祭でどこまで機体に寄れるか?

APS-Cカメラと100-400mmレンズで航空祭の戦闘機はどこまで大きく撮れる?ブルーインパルスやF-16機動飛行の作例を交えながら、実用性や焦点距離の限界、ポイントを解説します。

以前、APS-Cカメラと焦点距離200mmのレンズで、飛行中のブルーインパルスをどこまで大きく撮影できるのかという記事をアップしました。

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EF70-200mm F4L USMで撮影したブルーインパルスの写真。演目は「ファンブレイク」。午前の部で撮影。

【松島基地航空祭】APS-Cカメラと200mmのレンズで撮るブルーインパルス

「APS-Cカメラ」と「焦点距離200mmレンズ」の組み合わせで撮影した松島基地航空祭のブルーインパルスの写真です。望遠レンズの中では比較的短めの焦点距離200mm(フルサイズ換算320mm)のレンズで、飛行中のブルーインパルスをどこまで大きく撮影できるのか。参考にしていただければ幸いです。

いわゆる“航空機撮影ガチ勢”ではないライトユーザーの場合、カメラはAPS-C、望遠レンズのテレ側は最大200mm域ぐらいの人が多いだろうと考え、その組み合わせで自分が撮影してきたブルーインパルスの写真、作例を紹介したものです。

今回は「200mmじゃちょっと物足りない…」という方に向けて、次のステップアップとして選ばれやすい400mm前後のレンズAPS-Cカメラと組み合わせた場合、どれくらい機体を大きく撮れるのか、何か問題はあるのか実体験を元にご紹介します。

この記事の写真で使用したレンズ

  • TAMRON(タムロン) 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD

APS-Cとの組み合わせなら、実質640mm相当の画角に

3機編成のブルーインパルスの飛行写真。2019年に撮影。この年の松島基地航空祭は午前、午後共に3機編成での飛行だった
焦点距離:400mm / Tv:1/1000 / Av:F8 / ISO:250
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD
100-400mmレンズで画面いっぱいにブルーインパルス(T-4)を捉えた写真。2019年の松島基地航空祭にて撮影。
焦点距離:339mm / Tv:1/1000 / Av:F8 / ISO:160
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD
焦点距離:339mm / Tv:1/1000 / Av:F8 / ISO:250
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD
急上昇し、離脱するブルーインパルス5番機。100-400mmレンズで撮影。
焦点距離:339mm / Tv:1/1000 / Av:F8 / ISO:250
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD

まずはブルーインパルスの実際の写真から。

使用したのは、Canon EOS 7DとTAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD の組み合わせ。編隊飛行からT-4単独ショットまで、この一本で撮影しました。

ブルーインパルス編隊飛行の写真。松島基地航空祭2023にて撮影。
焦点距離:400mm / Tv:1/3200 / Av:F8 / ISO:400
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD

持ち運びに便利な小型軽量の100-400mmレンズは、望遠レンズの中では入門クラスとされることも多いですが、APS-Cセンサーのカメラとの組み合わせることで、画角は実質最大640mm相当になります(※Canonの場合)。焦点距離としては、航空祭の撮影でも十分に実用的です。

今回紹介する写真と同じ400mm域のレンズを使用しても、どのくらいまで機体を大きく撮影できるかは、自分の撮影ポジション、当日の天候、雲の位置による飛行高度、演目によって異なりますので、その点は留意してください。

訓練展示も鮮明に捉える

松島救難隊の訓練飛行展示の写真。U-125Aが救助用タンカーを射出した瞬間を捉えた一枚。100-400mmレンズで撮影
焦点距離:339mm / Tv:1/1250 / Av:F8 / ISO:320
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD
同じくU-125Aをアップで撮影。機体の底部と、機首に装備されたカメラがハッキリ視認できる写真
松島救難隊のUH-60Jをアップで撮影した写真
焦点距離:339mm / Tv:1/250 / Av:F8 / ISO:125
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD
松島基地航空祭にて、UH-60Jの訓練飛行の写真。今まさに隊員がヘリコプターから降下する瞬間を捉えた一枚。
同じくUH-60Jの訓練飛行の写真。

続いては、訓練展示のシーンから。

パラシュートの投下や、ヘリコプターから隊員が降下する瞬間など、臨場感たっぷりのシーンは、できればアップでしっかり捉えたいところ。

焦点距離が足りないと、遠目の写真では「何が起きているのかよく分からない」となりがちですが、100-400mmレンズであれば、こうした動きのあるシーンにも十分対応できます。

機動飛行は600mmでも構図次第で物足りないことも

松島基地航空祭2023で飛行するF2戦闘機。9:21撮影。
松島基地航空祭2023で展示飛行を行うF2戦闘機。11:05撮影。

一方でここからは少し意見が分かれるところかもしれません。

次に紹介するのは、F-16F-2による機動飛行中の写真です。

アメリカ太平洋空軍(PACAF・パキャフ)のF-16パイロットの写真。これからフライトに向かう途中を撮影
アメリカ太平洋空軍(PACAF・パキャフ)
※フライト前の撮影

ブルーインパルスの曲技飛行や、救難隊による訓練展示とは異なり、機動飛行では基本的に航空機単体のデモンストレーションが中心になります。

翼からベイパーを発生させ、高速飛行するF-16 ファイティングファルコンの写真。松島基地航空祭2023にて撮影。
焦点距離:400mm / Tv:1/4000 / Av:F8 / ISO:1000
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD

そのため、「航空機をできるだけ大きくアップで撮りたい!」という欲求が最も高まる飛行でもあるのですが、これがまた非常に難しい。

急旋回・急上昇・急降下といった機動を高速で繰り返す中で、被写体をレンズで追うだけでも一苦労。特に旋回や急上昇をしながら離脱していく場面では、アフターバーナーが見頃になるタイミングで一気に距離が開いてしまい、焦点距離が足りなくなるケースが多々あります。

その結果、実質600mm相当の画角を持ってしても、「もう一歩寄りたかった……」という物足りなさを感じてしまうことが少なくありません。

F-16

アフターバーナーの点火と共に、ベイパーを纏い、急上昇を開始したF-16の写真。
焦点距離:339mm / Tv:1/1250 / Av:F8 / ISO:125
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD

アメリカ太平洋空軍(PACAF・パキャフ)のF-16によるデモフライト。

ベイパーを纏い、「さあ、ここから!」という緊張感のある場面。ここまではしっかりとアップで撮影できていますが――

高速で上昇し、あっという間にレンズからフレームアウトしてしまうF-16の写真。一瞬で距離が離れ、最大望遠、かつトリミング処理を施しても機体は小さくしか写らない
焦点距離:400mm / Tv:1/1250 / Av:F8 / ISO:160
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD

次の瞬間には、すでにフレームアウトする距離に離脱してしまいます。最大望遠かつ、トリミング処理も施してこのサイズ。これが現実的な限界です。

アフターバーナーが点火された戦闘機を、画面いっぱいに捉えるには、レンズ規制などを一旦置いておくとしても、800mm〜1000mm以上の焦点距離が必要になると感じます。

F-2B

松島基地から離陸するF-2Aを流し撮りで撮影した写真
焦点距離:300mm / Tv:1/80 / Av:F10 / ISO:100
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD
アフターバーナーを点火し、加速しながら旋回するF-2Aの写真
焦点距離:400mm / Tv:1/1250 / Av:F8 / ISO:250
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD

こちらはF-2の機動飛行展示(※写真の撮影順は前後しています)。

F-16と同様に、F-2の機動飛行も飛行経路に対して観客席側との距離がかなり開くため、アップで捉えるのは簡単ではありません。

焦点距離:400mm / Tv:1/1250 / Av:F8 / ISO:250
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD

本来であれば、ベイパーコーンをまとい、バーナーが赤く輝く瞬間を大きく切り取りたいところですが、APS-C × 400mmでは、トリミングしてようやくそれらしい画角になるといったところ。

やはり、「画面いっぱいに収めたい」という欲求には、少し物足りなさを感じるのが正直なところです。

一方で望遠だからこそ「撮れない」演目もある

ここまでは「100-400mmレンズがどこまで機体に寄れるか」に主眼を置いて解説してきました。一部、物足りなさを感じる場面はあるにせよ、APS-Cとの組み合わせで実質640mm相当となるこのレンズは、超望遠域をカバーする一本として、航空祭撮影において十分に実用的であることを紹介してきました。

しかし一方で、望遠レンズならではの弱点に直面する場面もあります。

それは「ワイド端」、つまり引いたの画が撮れない場面があるということ。

たとえば、ブルーインパルスの曲技飛行のような編隊飛行では、カメラを引いて撮らなければ全機がフレームに収まらない場合があります。超望遠レンズ一本では、こうした演目に柔軟に対応するのが難しくなってしまいます。

ブルーインパルス展示飛行(東北絆まつり2024)
「チェンジオーバーターン」
焦点距離:225mm / Tv:1/1000 / Av:F8 / ISO:160
Canon EOS R8 + RF100-400mm F5.6-8 IS USM
ブルーインパルス展示飛行(東北絆まつり2024)

各機が一斉にトレール隊形からデルタ隊形に展開する「チェンジ・オーバー・ターン」の写真。

こちらは「東北絆まつり」で撮影したもので、高度が高かったこともあり、なんとか全機をフレーム内に収めることができました。

しかし、同じ演目でも飛行高度が低い場合や、より接近したポジションから撮影していると――

松島基地航空祭にて披露された「チェンジ・オーバー・ターン」。ワイド端の100mmまで引いても、まったく画角に収まっていないことがわかる写真
焦点距離:100mm(※35mm換算160mm)

ワイド端の100mmまで引いても、まったく画角に収まらないということもあります。

これをしっかり収めるためには、雲の状況や、飛行演目ごとに撮影ポジションを大きく変え、あらかじめ距離を取っておく必要があります。

ですが、正直に言って混雑する会場で演目ごとに移動するのはとても現実的ではありません。一度場所を離れれば、戻ったときにはすでに誰かにスペースを取られていたり、人の波に埋もれてしまって元の場所に戻ることすらできない、というのが実情です。つまり一度撮影が始まれば、当面はその場所から移動出来ません。

こうした場面では、むしろ「RF24-240mm」など、いわゆる便利ズームと呼ばれるレンズの方が、画角の自由度が高く、柔軟に対応できるケースがあります。

まとめ

ブルーインパルスの午後の展示飛行を開始した写真。松島基地航空祭2023にて撮影。
焦点距離:400mm / Tv:1/3200 / Av:F8 / ISO:320
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD

まとめです。APS-Cカメラと100-400mmレンズの組み合わせは、実質、最大640mm相当の画角をカバーでき、航空祭における飛行機撮影では非常に頼れる選択肢です。

ブルーインパルスの訓練展示や、T-4単機の飛行、そしてパラシュート降下など、「撮りたいシーン」をしっかりアップで捉えるには十分な焦点距離を誇ります。

APS-C+100-400mmの構成は、コスト・画角・機動性のバランスに優れた一本として、非常におすすめできる選択肢です。

  • 航空機をなるべく大きく撮りたい
  • でも、超高価な超望遠レンズまでは手を出せない
  • なるべく荷物はコンパクトに抑えたい

航空祭における100-400mmレンズのポイント

TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USDで撮影したF-16の写真
焦点距離:339mm / Tv:1/1000 / Av:F8 / ISO:250
Canon EOS 7D + TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD

一方で、F-16やF-2といった戦闘機の機動飛行では、アフターバーナー点火の瞬間を画面いっぱいに収めるにはやや力不足を感じる場面も。また、ブルーインパルスのような曲技飛行になると、100mmまで引いても全機がフレームに収まらないこともあり、ワイド端の不足が課題になることもあります。

その場合、撮りたい構図に合わせて予め撮影ポジションを吟味しておくことが重要です(飛行開始後に移動するのは難しい)。

被写体やシーンに応じて、広角側のレンズを装備したサブ機を併用するなど、ぜひご自身のスタイルに合った機材構成を探してみてください(ようこそ沼の世界へ)。

余談:Canonユーザーなら「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」が第一選択肢か

ブルーインパルスの編隊飛行。東北絆まつり2024にて撮影。
焦点距離:400mm / Tv:1/1000 / Av:F8 / ISO:160
Canon EOS R8 + RF100-400mm F5.6-8 IS USM

ちなみに、今回ご紹介したCanon EOS 7Dとタムロンの100-400mmの組み合わせですが、これは一世代前の一眼レフ時代の装備。ミラーレスカメラが市場の主力となった昨今においては、ちょっと古いです。

もし、僕と同じくCanonユーザーで、お持ちのカメラがミラーレス機ならば、100-400mmの第一選択肢としてのおすすめはRF100-400mm F5.6-8 IS USMです。

焦点距離:400mm / Tv:1/1000 / Av:F8 / ISO:160
Canon EOS R8 + RF100-400mm F5.6-8 IS USM
 RF100-400mmで撮影したF-15の写真。
焦点距離:400mm / Tv:1/1600/ Av:F8 / ISO:250
Canon EOS R8 + RF100-400mm F5.6-8 IS USM

Canon純正のRFレンズでありながら、価格はサードパーティ製の100-400mmと大して変わらず、非常にコストパフォーマンスに優れた一本です。

しかも非Lレンズでは珍しくテレコンにも対応という拡張性を備えており、さらに焦点距離を伸ばす事も可能。かなりの万能レンズでおすすめです。

ただし、ひとつ残念なのはフォーカスリミッターが非搭載な点。特に人が多く、近距離にピントが引っ張られやすい航空祭においては、ちょっと惜しいポイントですね。

RF100-400mm F5.6-8 IS USMで撮影した記事

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